1 共通キャラクター 編

複数の落語に登場する人物に関する考察です。

2 限定キャラクター 編

特定の噺にのみ登場する人物に関する考察です。

 

 

1 共通キャラクター 編

喜六

(きろく)

上方落語最多出場者はおそらくこの人であろう。推定年齢24・5〜30歳前後。愛称は「きーやん」「きー公」。旅ネタ(東の旅、西の旅など)では清八(せいはち)に、根問もの(商売根問,つるなど)では甚兵衛(じんべえ)に突っ込みを入れられっぱなしかと思いきや、時として逆にやり込めたりする。おっちょこちょいで、失敗も多いが、腹に全く悪気はなく、憎めない。「どついても音のせん奴」(壷算)などと評される。

清八

(せいはち)

喜六(きろく)の兄貴分。推定年齢は喜六と同い年もしくは5〜6歳ほど上といったところ。愛称は「せいやん」。旅ネタでは喜六の良きパートナー。喜六のドジに振り回されたりもする。「舟弁慶」では、恐妻家の喜六をうまく舟遊びに連れ出したりと、頼りになる男。尚、喜六、清八とも噺によって未婚だったり既婚だったりする。

源兵衛

(げんべえ)

喜六、清八にもう一人加えて3人組になる場合のみ登場。推定年齢は清八とほぼ同い年か。3人のリーダー格ではあるが「宿屋仇」では他人から聞いた殺人話を我が事のように自慢したため、喜六・清八に大きな迷惑を…しかし「三枚起請」では、3人をだました娼妓(おやま)小輝(こてる)にリベンジを謀るためリーダーシップを発揮する。

甚兵衛

(じんべえ)

 推定年齢50〜60歳。喜六にとって「知恵袋」もしくは「職安」的存在。博識ではあるが、時には口から出まかせも(つる、ちはやふる等)。それでも「知ったかぶり」とは思われないところがこの人の人徳か。 世話好きの甚兵衛で「世話甚(せわじん)」などと呼ばれているが、世話した後で「損した」とぼやいているかわいい一面も。いずれにしても、上方落語ならではの愛すべきキャラクター。

お咲

(おさき)

 喜六が既婚者の場合、奥さんはたいがいこの人。いわゆる長屋のおかみさん。頭の回転が速く機転が利くため、頼りない夫の喜六を数々のピンチから救っている(向う付け、祝いのし等)。ゆえに、喜六はお咲に頭が上がらず、突っ込まれっぱなし・・・

お梅

(おうめ)

お咲同様、長屋のおかみさん。たいがいは主人公の隣の住人。半襦袢と風呂敷で花見に出掛けようという(貧乏花見)度胸のある一面も。

徳さん

(とくさん)

残念ながら正式な名前は不明。喜六の相方ながら、突っ込みは清八よりきつい。夫婦喧嘩の仲裁(天狗裁き)買い物の付き合い(壷算)と、結構喜六の世話も焼いている。

手伝いの熊五郎

(てったいのくまごろう)

手伝い(「てったい」と読んで下さい)とは、大工や左官などの便利職人で、正式な職人ではなく、いわゆる間に合わせの仕事人のことです。この熊五郎さん本職の他に、愛のキューピッド役(崇徳院)や化け物退治(質屋蔵)までこなすスーパー手伝い。

手伝いの又兵衛

(てったいのまたべえ)

この人も手伝いながら、熊五郎さんより少々頼りない。葬儀の場で奥さんののろけを言いまくるという(くやみ)とんでもない一面も。

作治郎

(さくじろう) 

落語に登場する独身男性は、ほとんどが一人暮らし。そんな中、この作治郎さんは今風にいえば「パラサイトシングル」。いわゆる「若旦那」だがあまり皆から尊敬はされてない。道楽者のくせに(親子茶屋等)こと恋愛に関してはかなりおくてで「恋わずらい」の常習犯である。(崇徳院等)

脳天の熊五郎

(のうてんのくまごろう) 

落語キャラクターの中では最も無茶者。ばくちで生計を立てているようなとんでもない遊び人だが、他人の身の上話に付き合ったり(らくだ)前述の作治郎に家へ戻るように諭したり(へっつい幽霊)、人情家でもある。なお「手伝いの熊五郎」とは別人である。

 

 

2 限定キャラクター 編   

松本留五郎

(まつもと・   

とめごろう)

故枝雀師匠の落語によく登場する愛すべき人物。

師匠の十八番「代書」の主人公として有名。

詳しくは、上方落語ファンなら誰もがお世話になった

伝説のHP「松本留五郎の部屋」をご覧ください。

 

 

寿限無・・・

(じゅげむ…)

父親がとんでもない名前を付けたがために、悲惨な人生を歩むこととなった気の毒な男の子。詳しくは「落語Q&A・Q1」をごらんください。

佐藤光太郎

(さとうみつたろう)

一見、落語とは縁の無さそうな名前ですが、なんと代表的古典落語「まんじゅうこわい」の主人公です。友達連中をペテンにかけて好物の饅頭をせしめる知恵者。特殊な職業でもないのに、フルネームで登場する珍しいキャラクター。

渋谷藤兵衛

(しぶやとうべえ)

「けんげしゃ茶屋」「正月丁稚」といった「ゲンかつぎ」がテーマの落語の限定キャラクター。「木村拓哉」を略すと「キムタク」とかっこいいが「渋谷藤兵衛」を略すと「しぶと(死人)」ととたんにゲンがわるくなる。本人の責任ではないがなんとも迷惑な存在。

漉き直し屋の徳(すきなおしやのとく)/かもじ鹿の子活け洗いの裕(かもじかのこいけあらいのゆう)/東西屋の新(とうざいやのしん)

「不動坊」という噺は限定キャラクターのみで構成されている。その噺の後半
活躍するのがこのやもめトリオ。まずは商売の説明から・・
「漉き直し屋」は紙屑を集めてちり紙などに再生する仕事。「かもじ鹿の子
活け洗い」とは古くなったかもじ(つけ毛)を湯洗いで再生する仕事。どちらも
今風にいえば「リサイクル業」。「東西屋」は今でいう「ちんどん屋」つまり
移動広告業。3人ともある種時代を先取りした商売ともいえる。
なお、この三人を統一キャラクターに置き換えると
徳・・源兵衛  裕・・喜六  新・・清八 となる。
ただ、喜六たちよりもかなり間抜けな三人ともいえる。家主の評判が悪いのも
うなずける・・・・。

 

  

以下は順次追加します。おたのしみに!      【監修:潮吹亭くじら】