大阪編 その七  大阪市内探訪(その2)

 上方落語の舞台になっている現在の大阪市内の

 探訪は、16年前の2002年に実施していま

 すが、久しぶりに再度探訪しました。

 今回は、滋賀のFMおおつの「素人お笑い演芸

 館」のパーソナリティを務めるびい亭るうずさ

 ん(右)の取材とコラボしています。  

 出発地は天王寺駅。すぐ前にある日本一高いビル

 の「あべのハルカス」を見上げながら、まずは、

 謎かけ!? 風流落語旅なので、落語らしく進行

 します。

 

 あべのハルカスから四天王寺に向かう天王寺の

 商店街で、珍しい看板を発見!!

 拡大写真はこの下です。

 

 「街娼の 客待ち 客引き お断り」

 これも昔懐かしい看板と言えるかも知れません。

 

 四天王寺への参道を北へ北へ・・・。

 四天王寺は、我が国初の官寺(かんじ〜国が建て

 た寺院)で、聖徳太子が摂政だった時代のもので

 す。

 

 石の鳥居と西門(さいもん)です。ここが舞台に

 な
る落語といえば『天王寺詣り』が代表的です。

 その他にも『鷺とり』・『ながたん息子』・『戒

 名書き』・『悟り坊主』・『ブラリシャナリ』


 どがあります。

 

 西門の輪宝(りんぼう)の説明をする潮吹亭くじ

 らさん(左)。この輪宝を三度回すと手を洗った

 のも同然と言われています。でも、科学的根拠は

 ありません・・・。

 

  亀の池を尻目に殺して進みます。亀がたくさん

 甲羅干しをしていました。この亀は、捕らえた

 生き物を逃がす「放生会(ほうじょうえ)」と

 いう仏教のイベントにならい、ここの池に亀を

 放したので、多数の亀が生息しています。

 

 五重塔をバックに記念撮影する今回の落語旅の

 参加者4名です。

 左から高月亭すばるさん、潮吹亭くじらさん・

 びい亭るうずさん・寿亭司之助さん。


                        (写真は合成です)

 石の鳥居の横に売っている「亀かすて〜ら」を

 購入。亀の形をしたベビーカステラですが、結

 構美味しかったですよ。

 

 近くの路地にある、いわゆる飛び出し君も四天

 王寺にちなんで、聖徳太子でした。

 次は、上方落語とは切っても切れない縁のある

 生國魂(いくくにたま)神社です。通称「いくた

 ま」さん。昔からこの付近は忍び逢いのメッカ

 だったそうですが、芝居・富札・相撲・落語など

 が境内でさかんに行われていたところです。

 この神社が登場する落語といえば、『蛸坊主』・

 『崇徳院』
などがあります。

ここの鳥居を奉納したのは、サントリーの鳥居

 信治郎氏です。くじらさんいわく、「鳥居さん

 が奉納したので、これを鳥居というようになり
 
 ました・・・!?」

 

 境内には、上方落語の祖・米澤彦八の碑が立てら

 れています。江戸時代にこの境内で芝居物まねや

 軽口噺をやっていてたいそうな人気だったそうで

 す。今では、毎年9月に「彦八まつり」が開催さ

 れ上方の噺家さんが色んな露店を出しています。

 

 いくたまさんをちょっと北に行くと高津神社があ

 ります。
『高津の富』『延陽泊』『崇徳院』

 
『いもりの黒焼
き』といった落語に登場する

 上方ではポピュラーな神社でもあります。

 

 境内には、高倉稲荷があり、『稲荷俥』『高

 倉狐』
なんていう落語の舞台になっています。
 
 『稲荷俥』はここを出発して、産湯稲荷(鶴橋)
 
 に向かう噺です。

 

 高津神社の本堂を前にして、またもや謎かけ!!

 落語旅も盛り上がってきました。境内に入ると、

 大阪市内とは思えないような静けさと昔ながら

 の雰囲気に満ちており、落語の世界が目の前に

 浮かんでくるような気がします。

 

 そして、こちらの建物は『崇徳院』で恋の花咲

 く絵馬堂です。ここから見える景色は、明治時

 代までは市内随一だったそうで、六甲山も見え

 たとのこと。今はビルが林立しているところし

 か見えません。

 

 絵馬堂の下の石段を下りてすぐの所は駐車場に

 なっていますが、昔はここに漢方の黒焼き屋

 が本当にあったそうです。『いもりの黒焼き』

 
の舞台です。

 

 

 絵馬堂に戻って、さらに謎かけ攻撃!?

 皆、頭を捻ります。

 

 高津神社の次は、今里にある「桂米團治顕彰碑」

 を見学に。4代目の桂米團治(桂米朝師の師匠)

 の創作落語「代書」はこの地で実際に代書屋を

 営んでいた体験からできたものです。

 

 「天満青物市場(あおものいちば)跡」です。

 野菜や果物の供給市場として、大阪市内の相場

 を左右するほどであったそうです。落語では、

 
『千両みかん』の舞台となっています。

 

 淀川三十石船舟唄碑の解説をするくじらさん。

 江戸時代、大坂と京を結ぶ重要な交通機関で、

 一昼夜で上り下りし、多い時で往復320便、

 約9000人が往来したそうです。
上方落語の

 『三十石夢の通い路』
でも船頭さんが歌う舟歌

 が出てきます。

 

 その三十石船の大坂の発着点が、天満の八軒家浜

 (はちけんやはま)です。今は、この付近を観光

 の屋形船が走っています。

 安藤広重の描いた八軒家浜の浮世絵。荷物の積

 み下ろしや人の乗り降りのための石の階段「雁木

(がんぎ)」が築かれています。この八軒家浜は、

 三十石船だけでなく、野崎詣りや金比羅詣りの

 船も発着していました。

 そして、今では上方落語の定席としてファンが

 詰めかける「天満天神・繁昌亭」です。上方落

 語のメッカの前でも謎かけ!

 
 ここは、寄付者の名入れ提灯が館内の天井に飾られ

 ています。当会の提灯もあります。

繁昌亭のすぐ横に本日の落語旅の終着点の大阪

 天満宮があります。
言わずと知れた、菅原道真

 公が祭られています。天神さんと言えば、学問

 の神様ですが、この神社は、厄除け、商売繁盛、

 縁結び、諸芸上達にも御利益があるそうです。


 

ここは、昔の大阪の正月の風景を彷彿とさせる

 落語の
『初天神』舞台になります。初天神と

 は、その年の最初の縁日のことで、1月25日

 に行われます。ここで、ラジオの パーソナリ

 ティのるうずさんが番組を締めます。

記念撮影をして、このあと打ち上げで日本一長い

 商店街と言われている天神橋筋商店街へ向かいま

 した。この落語旅の模様は、後日、FMおおつの

 「素人お笑い演芸館」で放送される予定・・・?



                       [2018.10.27]

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