大阪編 その五   池田の猪買い

 上方落語の「池田の猪買い」にちなんで、実際に

 そのルートを歩いてみることにしました。

 左からこのネタを十八番にしていて今回の案内役

 を務める小輔さん、最年長の拾八さん、くじらさ

 ん、私(司之助)です。

              【写真は合成です】

 

 丼池筋も今ではこんなハイカラな名前になって

 いました。

 ありったけの服を着込んで甚兵衛はんの家に訪れ

 たところ!?

 

 まずは、なるべく急いでいそうな人に道を尋ねま

 す。

 

 念には念を入れてまた道を尋ねようとすると、

 同じ人でした。

 

 丼池をまっすぐ北へ行くと、北浜で突き当たって

 でぼちんを打つことになっています。

 

 北浜を少し西に行くと淀屋橋。この辺ではまだ皆

 意気揚々と歩いてます。

 

 お次は大江橋。

 

 三番目は蜆(しじみ)橋ですが、今はもう川も

 ありません。多分このあたりが蜆橋!?

 お初天神(本名・露天神)の北門です。噺では、

 この辺に「紅卯」という寿司屋があることになっ

 ていますが、今は紅色をした「マクドナルド」の

 看板がありました。

 

 境内でお初天神の由来を尋ねる拾八さんです。

 阪急梅田駅を尻目にころして、黙々と池田への

 旅を続けます。

 十三の渡し付近に到着。池田まであと四里!!

 

 「十三の渡しを見つけたでぇ!」

 

 十三付近で見つけた「三味線屋さん」。この看板

 を見てピンときた人は、かなりな落語通です。

 答えは、最後の【ネタの紹介欄】を参照。

 

 三国の渡し付近で「裕次郎ポーズ」を決める。

 

 豊中の庄内付近。まだまだ余裕です。

 

 噺では通過するだけの服部の天神さんです。

「いつも尻目にころしてばかりですみません」

 手を合わせてお詫びをする小輔さん。

 

 知らない間に岡町を過ぎてしまい、蛍池付近で

 休憩をしています。かなり足にガタが来はじめて

 いるようですな。

 

 やっと池田市内に突入です。

 でも、この付近ではかなり疲れもピークに達して

 いて、みんな無言状態でした。

 

 阪急池田駅前に到着。出発時の元気もどこかへ

 行ってしまい、みんな目がうつろになってます。

 目標の五月山までもう一息。

 

 この旅の最終目的地の五月山公園についにたどり

 着きました。山猟師の六太夫さんの所はもっと山

 奥なんでしょうが、今回はここで旅を終えること

 にします。行程約23キロ、5時間40分かけて

 踏破しました。

 

 獲物の猪を見つけて、落語さながら思わず鉄砲を

 構える小輔さん。

 

 「ほんまもんの猪や!」

 よく見てみると五月山の近所にある肉屋さんの

 店頭のはく製でした。

 このお店では、雄(オン)がグラム1000円、

 雌(メン)が1500円でした。噺のとおり、

 メンの方が柔らかくて上等なようです。

 旅の終わりは当然ボタン鍋…のつもりでしたが、

 適当な店が無かったので、牛のすき焼きで締めく

 くりました。そのかわり次回の駅前寄席の打上げ

 は、楽屋の吟醸酒蔵みゅ〜じあむで本当にボタン

 鍋をやる予定です。

参加者の感想です。

司之助「しんどい!! でも、ええ運動やった」

くじら「ここまでして手に入れたかった猪肉は余程魅力的
    だったんだろうな。当時の人たちの健脚ぶりに脱
    帽!」


拾 八「わざわざ池田に行って猪肉買う手間で、梅田で
    豚肉を買うて帰った方が良かった……」

小 輔「よい子の皆さんはマネをしないでくださいネ」

                                                   2001.2.4 実施


当編に登場した落語のあらすじ

池田の猪買い(いけだのししかい)

冷え気には、猪の肉を薬喰いするのがよいと甚兵衛さんに聞いた男が、猪肉を買いに池田へ

出掛ける。途中、いろいろと聞き回ってやっと目当ての山猟師の六太夫さんの家までたどりつ

く。そこで無理を言い猪を撃ちに山へ行くのだが、男は仕留めた猪が本当に新しい猪か疑う。

怒った六太夫さんは「新しいか古いかこうしたらわかる」と鉄砲の台尻で猪を叩くと、猪は死

んでおらず気絶していただけだったので、起きてトコトコと歩き出す。それを見て六太夫さんは、

「客人、あのとおり新しいがな……」

鏡屋女房(かがみやにょうぼう)

田舎から大阪見物に来た男が鏡屋の前で看板の「かかみところ(鏡所)」を「嬶見所」と勘違い

し、偶然そこの女房が美人だったので、村に帰ってそのことを自慢した。翌年、別のグループ

がその鏡屋に行ってみると、その店は無く、琴と三味線を売る店にかわっていた。その看板を

見て、がっかり。「ことしゃみせん(今年ゃ見せん)」と書いてあったのだ。                                                  

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