大阪編 その弐

  生国魂神社

高津神社から千日前筋をはさんで南側、ホテル街

に囲まれるようにして生国魂(生玉)神社があり

ます。なぜ、神社の近くにホテルが集まっている

のか……? という疑問は、また、別のコーナー

(噺の実験室)ででも検証したいと思います。こ

の神社の通称名は「いくたま」さんですが、正式

には「いくくにたま」神社です。

 この神社は、上方落語の祖『米沢彦八』が活躍

した場所として知られています。生年・没年とも                                                         

不明ですが、貞享年間から享保年間にかけて生存

したと伝えられています。米沢彦八は、生国魂神

社の境内において芝居物まねや軽口噺をやってい

たそうで、大層な人気だったようです。その彦八

の噺は、演者自身の名をつけて『彦八ばなし』と

呼ばれ、その笑いは弟子たちにより諸国に移され

たそうです。現在の上方落語で後半が芝居がかり

になる『景清』という噺の原話は、この米沢彦八

の『祇園景清』という作品で、彦八作品集の『軽

口大矢数(かるくちおおやかず)』という文献に

収められています。この彦八の名は、初代の後、

四代目まで継がれたと言い伝えられています。

現在、生国魂神社の境内には、米沢彦八を祭る石

碑が建てられ、毎年九月には上方落語協会主催の

「彦八まつり」が行われており、落語会や噺家さ

んによる屋台などで楽しめます。また、境内も広

く静かで趣きがある所で、ここから上方落語が広

まっていったのかと思うと、上方落語のファンに

とっては何か親しみを感じる神社です。

境内には、厄除け・金物・建物・芸能上達・商売

繁盛・縁切り・縁結び等八つの神社と商売繁盛の

御神木が同居しています。いかにも大阪らしい神

社ですので落語好きの方は、ぜひ一度は訪ねてみ

てください。

生国魂神社への交通アクセス】

  地下鉄谷町線か千日前線の「谷町九丁目」駅下車、南西方向に歩いて5分くらいです。

                                                   1999.9.5 実施 

                               

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