大阪編 その壱
高 津 神 社地下鉄「谷町九丁目」駅から北西の方角、谷町筋に挟ま
れたちょうど真ん中で、千日前通の少し北側に高津神社があり
ます。ここでまず思い浮かぶ落語といえば「高津の富」でしょう。
昔はこの神社の境内で富くじという今の宝くじの抽選会をやって
いたそうです。境内を歩いていると富くじで賑わっていた頃が
偲ばれます。
境内の西側には、「崇徳院」の若旦那が恋に落ちた絵
馬堂があります。今はもう茶店はありませんが、古び
た絵馬堂だけが残っています。
ここは少し高台になっていますので、昔は見晴らしが
よかったのでしょうが、今はもうビルしか見えません。
その他に「延陽伯」にも高津神社が少し出てきます。
境内の東側には、高倉稲荷の社が同居しています。
ここは「高倉狐」の舞台ですし「稲荷俥」の発端にも
なっている神社です。
高津神社の近くには、昔は漢方の黒焼き屋があったそう
で、結構有名だったそうです。いもりの黒焼きは、惚れ
薬で、そのものずばり「いもりの黒焼き」という噺があり
ます。また「親子茶屋」にもこの高津の黒焼き屋の話題
が出てきます。このように多くの落語に高津神社が登場
します。それだけ、この神社は大阪人の生活に密着して
いたということでしょう。
写真は私と潮吹亭くじらさんです。この日はよいお天気
で取材日和の1日でした。
奉納されている絵馬の前です。
1999.9.5 実施
当編に登場した落語のあらすじ
高 津 の 富(こうづのとみ)
百万長者だと偽り、宿に泊まっている男が、なけなしのお金で富くじを買わされ一文無しにまってい
しまう。逃げる算段をしていると、何と買わされた富くじが一番富の千両に当たってしまい大騒ぎに
なる。
崇 徳 院
(すとくいん)どこかのお嬢さんに一目惚れをしてしまった若旦那のかわりにそのお嬢さんを探すことになった熊
さんが崇徳院の歌を手がかりに大変な苦労をする。
延 陽 伯
(えんようはく)甚兵衛さんの仲人で嫁をもらった喜六だが、お公家さんに奉公していたという嫁さんの言葉使いが
あまりにも難しすぎたため、行き違いばかり起こってしまう。
高 倉 狐
(たかくらきつね)人間の男に、逆にだまされて痛い目にあった女狐が、自分の子供に人間の恐ろしさを諭すという噺
稲 荷 俥
(いなりぐるま)稲荷のお使いの狐だと偽り、俥代を踏み倒そうとした男が、俥に自分の持っていた大金を忘れてし
まう。俥夫は、それを狐が福を授けてくれたものと思い込んで大騒ぎする。
いもりの黒焼
(いもりのくろやき)米屋の美人の娘に惚れてしまった喜六は、彼女を何とかこちらになびかせたいと思い、惚れ薬のい
もりの黒焼きを娘にふりかけようとするが、風が吹いて薬が別のものにかかってしまい大騒ぎにな
る噺。
親子茶屋
(おやこち゛ゃや)道楽者の息子に説教をする堅物の旦那は、裏を返せば息子以上の道楽者。この旦那がお茶屋で一
人で遊んでいるところへ息子が通りかかり、ばったりと対面してしまう。
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